消費税増税、不要!『カネアマリ』富裕層から特別資産税・復活所得税で31~57兆円!
1 消費者物価指数やGDPから見た家計純資産の異常な伸び
| 1980.4 | 2011.3 | 伸び率 | |
| 物価指数 | 76.3 | 99.9 | 1.31倍 |
| 実質GDP | 284.38兆円 | 539.74兆円 | 1.90倍 |
| 家計の純資産(資産-負債) | 238.78兆円 | 1110.1兆円 | 4.65倍 |
『異常な金余り(カネアマリ)』だということがわかる。
・だが、われわれ中低所得世帯には、その実感がない。ということは、一部富裕層に
集中か?
・これは、3.2 恒常施策で説明する富裕層に対する大減税によって、富裕層が、
30年かけて溜め込んだ巨額な富だ。そして、これと裏腹に、この富裕層
大減税分の穴埋め・大衆への付け替え対策として、そのとき同時に消費税が導入
されたが、これにより、『1億総中流社会』から、『1億総窮乏化・貧富の
大格差社会』へと歩むこととなった。
・しかし富裕層の減税額が、あまりにも巨額だったため、消費税を3%から5%に
引き上げても、その減収分の穴を埋めきることが出来ず、恒常的な赤字国債
体質の財政となり、現在にいたっている。
・したがって、その分、富裕層の蓄積は、ここに示したとおり、きわめて莫大な
ものとなったわけだ。
・家計の純資産1110.1兆円のうち、現金・預金は、816.4兆円。
*1 消費者物価指数 :総務省 品目別価格指数(昭和45年1月~最新月)総合
*2 物価、資金循環統計、短観データの一括ダウンロード :日銀 資金循環統計
(系列名称等あり)の負債・金融資産・負債差額/家計/ストック、1980年
*3 金融資産・負債差額純資産:日銀 資金循環 主要部門・取引項目残高表
2011年 6月17日掲載分の家計、負債の金融資産・負債差額純資産
2 パレートの法則
経済において、全体の数値の大部分は、全体を構成するうちの一部の要素が生み
出している。
つまり、『上位2割の富裕層に、全体の8割の富が集中する』 別名『2:8の法則 』。マクロ推定をしたい場合は、これで十分。
ジップ分布で近似でき、上位2割が全体の80%保有の時、上位1割は、64.5%保有と
なる。 【ジップ分布 : f(k;s,N)=(1/k^s)/(∑(1/n^s))ここで∑:n=1 to N ただしNは全要素の数、kは順位で、sはパラメータ f(1;2,10)=0.645・・・要素が10ある場合の第1番目の要素が占める
割合は64.5% 】
3 財源確保策に関するご提案
3.1 臨時施策
東日本震災・原発事故被災者のみならず、国民の大半が、リーマンショック以来の
経済危機の中でその生存権がおびやかされる緊急事態にあることから、その緊急財源
として、富裕層のカネアマリ資産に対して『臨時特別資産税』を課する。
・対象 :家計純資産の現金・預金816.4兆円のうち上位10%の富裕層が保有する分
上記ジップ分布より64.5% なので、816.4×0.645=526.58 兆円
・税率 :5 ~ 10 %
・推定税収額:526.58 × (0.05 ~ 0.1) = 26.3 ~ 52.7 兆円
・いま、政府は、消費税率の10%引き上げを考えているが、われわれ低所得世帯に
とっては、収入の大半が生活維持のための支出となる。したがって、消費税10%
とは、所得税10%と同じことで、これが、支出のたびに取られるわけで、いよい
よ生活は成り立たない。
しかし、この特別資産税は、今回限りの臨時的なもので、かつ、余っている
資産に対してかけるものなので、5 ~ 10 %は、遊休資産の活用策として考えた場合は、
まだまだ、低すぎるくらいである。
3.2 恒常施策
昭和時代の末期に、自民党政権は、景気落ち込みによる、富裕層の所得の減少
をカバーするために、当時、施行されていた累進課税制(*1 所得が高い人ほど、
税率が高くなる税制)の中で、富裕層が適用される高額所得領域の累進課税制を
廃止した。
そして、前にも書いたとおり、その富裕層の払っていた税金の減収分の穴埋め
付け替え策として消費税を導入した。
これが、貧富の大格差を生んだ昭和末期の税制の改悪すなわち富裕層に対する
大減税 と言われているものだが、ここで提案する施策は、
高額所得領域(年間所得1000万円以上)に対して昭和55年当時の所得税の
累進税率(*2)を復活適用し、富の再分配の適正化をはかる、という富裕層に
対する復活所得税である。
・対象 :年間所得1000万円以上の富裕層(全世帯の約10%:厚労省の所得分布)
・税率 :昭和55年(1980年)当時の所得税の累進税率(*2)を適用 8000万円超:75%・・・1000万円超:42%の系列を復活適用
・推定増収額: 約5兆円/年
・検証:
この5兆円の意味と、これが、1項で述べた巨額な家計純資産の『異常な金余り
(カネアマリ)』の元手につながっているのか、否か、について検証してみよう。
まず、5兆円についてだが、これは、富裕層(年間所得1000万円以上)に昭和55年
当時の累進所得税率を適用した場合に得られると考えられる1年間の所得税の増収額の
推定値である。
したがって、これは同時に、昭和末期の税制改悪後に、その富裕層から取り
はぐれていたと考えられる年間の所得税額ともいえる。
一方、1項の表に戻って、家計の純資産の伸び率4.65倍から、GDPの伸び(1.9倍)
による部分と、物価指数の伸び(1.31倍)による部分の、この2つの影響分を除外した、
その他の要素で、どの程度の伸びがあったのかを推定すると、
4.65 ÷ 1.9 ÷ 1.31 = 1.86 倍
と、それでも、GDPの伸びに匹敵する伸び(1.86倍)があったことがわかる。
つまり、1980年当時の家計純資産は、238.78兆円だったので、これが、2011年
には、GDPおよび物価指数の伸び以外の何らかの要素で、
238.78 × 1.86 = 444.1 兆円
に膨れ上がったということになる。1980年当時との差額は、
444.1 - 238.78 = 205 兆円
と膨大な額だ。
この何らかの要素によって膨れ上がった差額が、冒頭に述べた
『3.2 恒常施策で説明する富裕層に対する大減税によって、富裕層が、30年
かけて溜め込んだ巨額な富』
にあたるのか、つまり、先ほど計算した取りはぐれ分に相当するのか、検証する。
上記の推定増収額が別名、 年間の取りはぐれ分、ということになるので、
これが、5兆円で、取りはぐれ期間は、1980年~2010年まで約30年間とすると、
取りはぐれ総額は、
5 × 30 = 150 兆円
となり、差額 205 兆円に近い値となった。
この 205 兆円と150 兆円の差の 55 兆円は、株によるもうけなど、いろいろ考え
られるので、この推定増収額: 約5兆円/年は、年間の取りはぐれ分と考えて
問題ないといえるわけで、われわれとしては、堂々と要求できるものだ。
【推定増収額5兆円の算出方法】
1 厚労省の所得分布の「2000万円以上」の高額所得領域 1.2%の分布内訳
を国税庁(*3)の申告所得金額階級別表の 2000万円以上の分布から推定
2 全世帯数は、『厚労省の所得分布』の『結果の概要』にある
世帯数と世帯人員数の状況 による(4801.3万人)
3 税額計算は、年間所得1000万円以上について、*1の税率を使い、超過累進
税率方式(*4)で計算
*1 累進課税(るいしんかぜい)とは、課税標準(租税を賦課する課税対象)
が増えるほど、より高い税率を課する課税方式のことをいう。また、この制度
下における税率は「累進税率」と言われる。
累進課税制は、所得税とともに相続税も累進課税することにより、相続される
所得を削ぎ、身分階級の固定化(封建制)の阻止を図ることが出来る。
また、所得格差が大きいと社会不安が増大するのでその解決方法として高額
所得層から応分の税金を徴収し、社会福祉に還元することにより、低所得者も
安い料金で福祉サービスを受けることができ、間接的に格差を是正することに
より、社会不安を抑えることができる。これを累進課税制のもつ『富の再分配』
機能という。
この累進課税制は、近代人類の作り出した、英知のシステムである、とも言われ
いる。 *2 所得税の累進税率の「1974年~」の「1000 〃 42%」以上を適用
*3 国税庁 税務統計 -申告所得税関係- (平成21年分)
p10 申告所得金額階級別表
*4 超過累進税率方式:
累進課税には大きく2つの方式がある。課税標準が一定額以上となった時、
その全体に対してより高率の税率を適用する単純累進税率方式と、一定額
以上になった場合にその超過金額に対してのみ、より高い税率を適用する
超過累進税率方式がある。前者では税率が課税標準の変化に応じて非連続
的・階段状に変化するため、課税標準が増えた以上に税金賦課額が増加する
ことがあり得るが、超過累進税率の場合はそのようなことはない。
3.3 推定増収税額
(26.3 ~ 52.7) + 5 = 31.3 ~ 57.7 兆円・・・震災復興と原発事故賠償
としては、これで十分。
4 まとめ
以上、富裕層以外(年間所得1000万円未満:全世帯の約90%)のみなさんには消費税含めて
一切増税の必要なしで約31兆円~57兆円の財源確保可能!となります。
この31兆円と57兆円は、消費税の税率に換算すれば、それぞれ、21%と40%に
相当するので、実質
(21 ~ 40)+5=26 ~ 45 %
と、大幅に引き上げたと同じ効果となります。これは、いわば、当然のことで、今まで、
取りそこねていた分をいただくだけなので、まったく、遠慮する必要はありません。
最後に、もう一度、厚労省の図8 所得金額階級別にみた世帯数の相対度数分布の
縦棒グラフをご覧ください。このグラフは大切なものなので、この見かたをご説明して
おきます。
このグラフの横軸が、年間所得額で単位は、(万円)です。
たとえば、「900-1000」万円の立て棒グラフが、中央付近に比較的短い棒で表されて
いますが、この縦棒の上にある「3.9」と言う数字が、この900万円から1000万円の間の
年間所得を得ている世帯数の全世帯に対する割合で、3.9%である、ということを示して
います。
ですから、年間所得が 1000万円以下のすべての世帯数の割合は、この「900-1000」万円
の縦棒から左側の縦棒10本すべての上に書かれている数字の合計、すなわち、
3.9 + 5.1 + 6.2 + 7.1 + 8.9 + 10.0 + 13.3 + 13.9 + 12.7 + 6.6 = 87.7 ≒ 約 90%
と、いうことで、年間所得1000万円以下の世帯数の全世帯に対する割合は、約 90% と
いうことになるわけです。少し、くどくなってしまいましたが、おわかりいただけたで
しょうか?
以上の施策に対しては、永田町・財界・マスコミなど年間所得 1000万円以上の富裕層は
猛反対すると思いますが、この厚労省の所得分布のグラフを見れば、一目瞭然、圧倒的
多数の世帯(全世帯の90%)が、1000万円以下なので、大威張りで、この施策を主張する
ことができるわけで、マスコミなどの反対が強ければ強いほど、われわれ国民にとっては、
歓迎すべき政策の証(あかし)になる、ということになるのです。ですから、こと、税金
、特に所得税や消費税に関する限り、マスコミなど高額所得者の言うことは信用できない
わけです。
四面楚歌の政財界で、いよいよ菅さんの出番が回ってきましたね。
これをご覧になられている大半の同志のみなさん、ともに、菅さんの開き直りに声援を
送って、庶民のための税制改正に持ち込みましょう。
【参考】
データで見る日本の問題点と対策案
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